次の日、さっそく四日市の有名な動物病院へ行き、検査を受けた。
一般的な体調測定と血液検査だったと思う。
一通り検査を受け、落ち着いた頃呼吸のことを担当医に聞いてみた。
「うーん、確かにそうですね。万が一ということもあるので、ちょっとレントゲンを撮ってみましょうか」と言う。
もちろん、万が一のことがあっては困るので、お願いした。
待合室で待つこと十数分。
担当医が開口一番に言う。
「これは大変です。。。」
状況が理解できないまま、レントゲン写真を見る自分。
大福の胸部
正常な猫の胸部
素人目にも明らかに異常な状態がすぐわかった。
大福の臓器は、ほとんどが胸部にあった。
そのせいか、心臓も肺もほとんど見えない。
さらに、エコー検査により、横隔膜が確認できないことがわかった。
担当医は、
「事故などでこのような状況になっているのであれば、すぐにでも手術が必要だが、
如何せん子猫で、体重も1キロ少々しかないため、手術に必要な管が通せず、手術すること自体に耐えられないであろう」と言う。
ただ、事故をしたような外傷はなく、大福自体もそこまで苦しい感じはないため、
先天性横隔膜ヘルニアか、もしくはそれに近い状態と考えられた。
突如として色々な言葉が降りかかり、衝撃的過ぎて何一つ気持ちの整理が出来なかった。
簡単に説明をすると、
横隔膜ヘルニアとは、何らかの理由で通常あるべき横隔膜が裂けている、もしくは存在しない状態を言う。
横隔膜とは臓器を腹部へ保つ壁の役割を持っているため、それが裂けているとなると、そこから臓器が流出し、肺を圧迫するなど、様々問題が起こってしまう。
また、一言で横隔膜ヘルニアといっても、「先天性横隔膜ヘルニア」と「後天性横隔膜ヘルニア」の二種類存在する。
「先天性横隔膜ヘルニア」とは、生まれつき遺伝子異常などで横隔膜が破けている状態を言う。
生まれつきのため、猫自体は自分のバランスで呼吸し、運動しているので、場合によっては普通の猫と同じぐらいの寿命を全うすることもありうるという。
ただ、異常であることは確かなため、通常はストレスからくる何らかの合併症や、呼吸不全などにより亡くなってしまう。
「後天性横隔膜ヘルニア」とは、事故などの外からの衝撃により、横隔膜が破れてしまった状態を言う。
この場合、呼吸困難、食欲不振、チアノーゼ、嘔吐などが起こり、すぐに手術が必要となる。
大福の場合、捨て猫なため生まれた時の状態がわからないため、先天性と断言できない。
しかしながら、仮に後天性であったとしても、まだ子猫なため手術が出来ない身体であり、先天性と仮定すれば、そもそも手術をしないという選択肢もある。
担当医の判断の元、当面は注意深く成長を見守ることにした。
ただただ、先生の言われるがままで、この子の未来を思うと涙が止まらない。
大福にとっては息苦しいことが普通なのだろうか。
一旦気持ちを落ち着かせ、整理し、最善の策は何か考えようと思った。
コメントをお書きください